みなさんこんにちは
フレッシュワークAKITA広報班です。
エフエム秋田で放送中!フレッシュワークAKITA提供
「Job-Press on Radio」
台風が過ぎ去り、さらに秋が深くなってきました・・・
今回の取材先は、大館市釈迦内にあります
「株式会社
大館工芸社」
フレッシュワークAKITA広報班メンバーが、会社を訪問しましたよ・・・
秋田市御所野の「秋田テルサ」からは、秋田自動車道、国道285号線、国道105号、
国道7号線を経由して2時間半程で大館市へ・・・
取材先である本社は、国道7号線の跨線橋(奥羽本線)を越えて側道に入ります。
こちらの地域には大館市公設総合地方卸売市場と、
食品関連企業が多く立ち並んでいます。
なぜ、市場のそばに会社が?
食品関連企業ではないはずなのに・・・ (その謎は、後で解けます・・・)
早速、
三ッ倉 和雄 代表取締役 に、いろいろお聴きしましょう!
◇
こちらの会社について教えて下さい!
◆ 「
「株式会社大館工芸社」は、
天然秋田杉を主材とした曲げわっぱをはじめ、秋田杉工芸品を製造し、
全国有名デパート専門店で発売しています。
当社の商品は、贈答品、記念品、業務用品として広く愛用されております。」
「株式会社大館工芸社」は、昭和34年に創業しました。
現代表取締役である三ッ倉和雄氏が創業者の堺谷哲郎氏の後を継いだわけですが、
三ッ倉代表取締役はもともと食品卸会社「株式会社三ッ倉商店」を経営しており、
曲げわっぱに関しては、素人だったといいます。
そんな、三ッ倉代表取締役が
「株式会社大館工芸社」を引き継いだのは、
大館市の伝統文化である“大館曲げわっぱ”を
次世代に継承していかなければとの思いでした・・・
強い志で会社を引き継いだ三ッ倉代表取締役は、食品卸会社の店舗を改装し、
平成9年に
「株式会社大館工芸社」を引き継ぎました。
【写真 社屋に掲げられてる「株式会社三ッ倉商店」の看板】
ここで豆知識!
『曲げわっぱ』とは、杉などの薄板を曲げて作られる円筒形の木製の箱のこと。
“大館曲げわっぱ”は、
1602年佐竹義宣候が関ヶ原の戦いに豊臣方として戦ったものの惨敗したために、
水戸より秋田へ禄高を減らされ移ってきた時にさかのぼります。
領内の民は窮乏が激しく、その日の生活に困る状況を見かね、
当時杣夫(そまふ=木こりのこと)が杉の柾目板を割って、
曲げ物の器を作りそれを弁当として利用していたのを見て、
大館城代佐竹西家は領内の豊富な森林資源を利用して、
窮乏を救うため下級武士達に命じ副業として、
曲げわっぱの製作を奨励したといわれています。(大館工芸社ホームページより)
現在では、お国自慢を歌った「秋田音頭」の歌詞に秋田名物と紹介され、
秋田を代表する特産品となっています。
※ちなみに、「秋田音頭」で紹介している“秋田名物”は、以下の4つ!
・八森のはたはた
・男鹿のブリコ(はたはたの卵)
・能代の春慶(しゅんけい)塗り・桧山納豆
・大館の曲わっぱ
【写真 本社内の販売店にディスプレイされた商品(各種お弁当箱)】
会社を受け継いだ三ッ倉代表取締役は、
原材料を150年以上の天然秋田杉にこだわり、
実用品として“大館曲げわっぱ”をPRすることを始めます。
PRの方法として、大館市内の飲食店に、
“大館曲げわっぱ”を使ってもらうよう働きかけました。
“大館曲げわっぱ”に使われている杉は熱伝導率が低いため、
熱々のきりたんぽを入れても、熱くて持てないということはありません。
三ッ倉代表取締役の働きかけにより、
きりたんぽ専門店や鶏めしのお店で、“大館曲げわっぱ”が使用されています。
【写真 大館市 花善の鶏めし】
杉には殺菌作用があると言われており、
食品を入れる器としては、とても良い素材と言えます。
「株式会社大館工芸社」では専門機関に協力を依頼し、
杉の殺菌作用や、“大館曲げわっぱ”に入れたご飯が美味しい理由について、
科学なデータ検証を行っているそうです。
科学的なデータを示すことが出来れば、
“大館曲げわっぱ”の力強い応援団になってくれるはず・・・
実は、三ッ倉代表取締役がこだわっている「150年以上の天然秋田杉」ですが、
今、大変な危機に直面しています。
“大館曲げわっぱ”の原材料である天然秋田杉の伐採が禁止されたことから、
100年以上の人工造林杉が“大館曲げわっぱ”の原材料となり得るのかを、
秋田県立大学木材高度加工研究所の足立幸司准教授が中心となり、
研究を始めたそうです。
“大館曲げわっぱ”に合う柔らかさを持つ、
人工造林の生育ノウハウが早く確立されるといいですね!
◇
現在、力を入れていることは、何ですか?
◆ 「新商品の開発に力を入れています。
『大館曲げわっぱ』というと、お弁当箱が人気ですが、
さらに実用品として日常生活で使っていただくために、
現在の生活にマッチした商品を送り出すようにしています。
現在の一押し商品はマグカップです。
流行のカラーを差し色として使用し、
モダンな印象の商品に仕上げています。」
【写真 一押し商品のマグカップ類】
「株式会社大館工芸社」の商品は、直販店(ネット販売含む)やお土産店の他、
“もと売場”と呼ばれているデパート販売も行っており、
「株式会社大館工芸社」の商品は、
全国、いや海外における『大館曲げわっぱ』のスタンダードと言える存在なんです。
ここで、“大館曲げわっぱ”の作り方をご紹介!!
【『曲げわっぱ』が出来るまで(大館工芸社 ホームページより】
〈製材・部材取り〉天然秋田杉を手割り、または製材により薄く剥ぎます。
【写真 製材された秋田杉】
【写真 製材された秋田杉を更に薄く剥ぐ、部材取り】
〈煮沸〉薄くした杉の板を熱湯につけ、板が柔らかくなったところで取り上げます。
【写真 煮沸された杉の板】
〈曲げ加工〉台上で型に巻き込むようにして曲げ、重ね合わせ部を仮止めします。
【写真 柔らかくなった杉の板をセットします】
【写真 杉の板を型(五角形)に巻き付けます】
【写真 型に巻き付けた杉の板を金具とタガで固定します】
〈感想〉仮止めしたまま、自然乾燥させます。
〈接着〉接ぎ手部を接着剤で接着します。
〈桜皮縫〉とじ穴を開け、この穴を桜皮で縫いとめます。
〈底入れ・木地仕上〉蓋板または底板を入れ込み接着して仕上げます。
この後は、〈下塗り〉→〈研磨〉→〈中塗り〉→〈研磨〉→〈仕上げ塗装〉を経て完成しますが、
途中の工程は、ほとんど手作業となります。
本当に手間と時間がかかります・・・
【写真 検品待ちの商品(お弁当)】
検品では、まとめて納品する商品の木の色を合わせる作業があり、
商品に問題がなくても、他の木の色と極端に違う商品は除かなければならないそうです。
中々厳しいですね・・・
◇
職員の構成について、教えて下さい。
◆ 「製造部門は、曲物木地部門と指物木地部門及び塗装部門に分かれています。
曲物木地部門は、お弁当などの木を曲げて作る商品を担当しています。
指物木地部門は、板膳や箱など木を曲げないで加工する商品を担当し、
曲物製商品の底板は、指物木地部門で作っています。
製造以外は、営業職と事務に分かれています。」
【写真 本社内の販売店にディスプレイされた商品(おひつや菓子器)】
「株式会社大館工芸社」で、求められる人材とは、どんなものでしょうか?
◇
求められる人材について、教えて下さい。
◆ 「工場で働く方については、
是非、『伝統工芸士』を目指したいという方を望んでいます。」
【写真 研磨作業の様子】
ここで再び豆知識!
伝統工芸士(でんとうこうげいし)とは、
伝産法第24条第8号に基づいて、(一財)伝統的工芸品産業振興協会が行う認定試験。
後継者不足等により低迷している伝統的工芸品産業の需要拡大を狙って、
1974年(昭和49年)に誕生した制度なんだとか・・・
伝統工芸士は、その産地固有の伝統工芸の保存、技術・技法の研鑽に努力し、
その技を後世の代に伝えるという責務を負っています。
そのため、産地伝統工芸士会に加入し、
産地における伝統工芸の振興に努めることとなります。
(一財)伝統的工芸品産業振興協会が認定事業を行っていますが、
伝産法の規定に基づく、国家資格となっています。
受験資格は、経済産業大臣指定伝統的工芸品の製造に現在も直接従事している方のうち、
試験実施年度の4月1日現在、12年以上の実務経験年数を有して、
原則産地内に居住している者としていますが、
各産地組合において独自の内部規定を設けている場合があるそうです。
産地組合の中に設置される委員会を通じて受験申請を行い、
試験科目は、知識試験と実技試験、面接試験に分かれています。
知識試験は伝統的工芸品産業振興協会が伝統工芸士としての資質や、
専門的知識についての出題と採点を行い、
実技試験と面接試験については、専門的な技術や個人的な資質を問われることから、
産地組合に委託されています。(試験時期:おおむね9月)
◇
採用試験について、教えて下さい。
◆ 「採用試験は面接試験のみです。
特に決まった質問内容はありませんが、
応募者とさまざまな話をしながら、
仕事へのやる気の有無などを見ています。」
仕事については、入社後に技術を学ぶことになるため、
採用時に1番大事なのは、「意欲」なんですね!
◇
採用後の研修等について教えて下さい。
◆ 「新卒者については、
商工会議所などが開催する新卒者向けのセミナーに参加してもらい、
その後は、所属部署でのOJTとなります。
採用に当たっては、試用期間を設けています。
毎朝の朝礼では、会社の使命を毎回話しており、
社員の気持ちをまとめるようにしています。
また、昨年から『社是・社訓』を定め、
それぞれの社員が会社の一員として、
仕事をすることへの自覚をうながすことに一役買っています。
2年に1度、社内研修を実施していますが、
前回は伊勢神宮の式年遷宮を見に行き、
旧宮と新宮の両方を見学してきました。」
「株式会社大館工芸社」では、
高校生の職場体験受入に当たり、
会社の朝礼から参加してもらうよう、学校にお願いしているそうです。
朝礼は、社員に覚えておいてもらいたいことを伝える場であることから、
将来、社会人となる高校生に、是非体験して欲しいとの思いなんだとか・・・
◇
秋田の若者にメッセージをお願いします。
◆ 「素直に育って欲しいですね。
周囲の人々に感謝し、決して自分を偉いと思わないことです。
そして、広く浅く、様々な知識を得て欲しいと思います。」
『秋田の杉にこだわり“大館曲げわっぱ”を後世に伝え続ける』を
キャッチフレーズに掲げる
「株式会社大館工芸社」・・・
我こそは、伝統を引き継ぐ者となりたい方のご応募をお待ちしております。
本日の若手職員をご紹介!
曲物木地部門 松崎 和也 さんです。
入社9年目の松崎さんは、大館市のご出身。とても優しい雰囲気の方です。
◇
入社のきっかけについて、教えて下さい。
◆ 「親戚に工務店を経営し、大工として働いていた人がおり、
小さい頃から大工にあこがれていました。
将来は建築関係の仕事に就きたいと考え、
大館市内の工業高校(土木・建築科の建築コース)に進学しました。
卒業後の就職先として、県外の建築関係の会社に応募したところ、
不合格なったことから、当社の求人を紹介されました。
見学した時に、学校の実習で使用している機械と似た機械がたくさん置いてあり、
曲げわっぱの製造に親近感が持てたことから、入社を希望しました。」
建築の現場で働く夢は叶いませんでしたが、
建築と曲げわっぱは、木を取扱っている点や、
加工する機械が似ているなど共通点があることから、
松崎さんは入社を決意したんですね。
◇
採用試験で覚えていることを教えて下さい。
◆ 「面接試験のみでしたが、
とても緊張したことしか覚えていません。」
【写真 取材の様子】
◇
仕事の内容について、教えて下さい。
◆ 「採用当初から曲物木地部門に所属しました。
最初に配属されたのが、曲げの工程で、
お湯で煮沸した杉の部材を、手早く型や治具に巻き付け、
固定します。
その後、曲物木地部門の全ての工程を担当し、
今では一通りの曲物木地部作業を行えるようになりました。
現在は、新製品の試作品製作を担当しています。」
◇
仕事で大変な事、またやりがいについて教えて下さい。
◆ 「曲げ加工を行っていた時は、煮沸のお湯がとても熱く、
夏の時期は暑さとの戦いでした。
木は生きているので、商品の出来や色を揃えるのがとても難しいです。
また、納期に合わせて作業の工程や計画を決めても、
その時使用する木の性質により、当初の計画通りに進まないこともあります。
大変ではありますが、この仕事は、自社内で完成品を見ることが出来るという点で、
一つ一つの商品が完成する度に、喜びを感じ事が出来るので、
とてもやりがいがあります。」
休日は、同居している家族のために、
掃除や買い物だけでなく料理も作るそうです。
何でも作れる松崎さんに、
得意料理を聞いてみると「肉じゃがなどの煮込み料理」と答えてくれました。
本当に家族思いの方ですね。
若手社員の中でもリーダーとして中心的に活動しているという松崎さん、
入社9年目のということで、後3年経てば、伝統工芸士にチャレンジできることになります。
是非、伝統工芸士となり、“大館曲げわっぱ”を継承していって下さいね!
恒例の写真撮影は、お勧め商品を持ってパチリ!
【写真に向かって、左側から 三ッ倉和雄 代表取締役、
曲物木地部門 松崎和也さん】
この模様は・・・
10月17日 17:40から エフエム秋田にてON AIRされます。
ぜひ、放送もお楽しみに・・・
※ラジオ取材にあたり、石倉 良彦 取締役営業部長に大変お世話になりました。
お礼申し上げます。